昨年から1年間サバティカル(1年間自分の学校を離れる長期研究休暇制度)で
主に日本含むアジアで研究をしていた防災計画(Disaster Planning)の教授が戻ってきた。
たまたま東日本大震災が起こった3月11日は京都大学防災研究所に滞在していた
そうで、皮肉にも防災関連の研究者としてはまたとない時期に日本にいたことになる。
過去にも阪神大震災の震災後の復興に関しての研究をされているのでもともと日本は主要研究対象国
の1つだったが、まさか滞在中にこんなことが起こるとは思ってもみなかったそうだ(当たり前か)。
そして今日、防災関係に興味を持つ学生を集めて彼女の報告会兼今後の研究を
手伝ってくれる学生を募るミーティングが開かれた。僕は特段防災関連の研究には
関っていないが、日本人の意見も聞きたい、ということで呼ばれた。
当然今回は本人も震災経験の当事者(同じ国内に居合わせた、というレベルで)という
こともあって、今後この震災を中長期的に研究対象としていきたいそうだ。
特に今回は先進国でしかも地震経験豊富な日本でさえあのような甚大な被害が
出てしまったことに少なからず各国はショックを受けているので海外からの注目度が
非常に高い。地震多発地域に指定されているここBC州でも急に耐震構造の話や
津波・地震が起こった際の避難経路の話が巷で聞かれるようになった。
彼女は社会科学系の防災研究者の中では結構名の知れた人で、BC州の
防災計画の再検討、なんて話になれば当然声がかかる人の1人だ。
ということで、できるだけ早いうちに今回の震災関連の研究をはじめ、教訓を
引き出そうとしている。
最初のフェーズでまず地理情報システム(GIS)などを使って人的・物理的・その他
被害状況のデータを地図上にマッピングする作業をすることに決まった。
そこから特に被害が大きかった自治体や逆に少なかった自治体を特定し、それら自治体を
ケーススタディとして被害増幅・軽減に繋がった要因を検討していくことになった。
まさか二時間のミーティングで今後の研究計画まで立てるとは思ってなかったのだが
僕も知らぬうちにそのプロジェクトに巻き込まれ、データ集めを手伝うことになった。
個人的にはちょうど今が論文の一番の踏ん張りどころなので一瞬迷ったが、どうせ
授業もないし、自分が出来るだけ何かこっちで力になれる(アカデミックの世界で)ことは
ないかとちょうど思っていたので承諾した。というか、多くのデータが日本語でしか
手に入らない研究で学部唯一の日本語話者がここで手を貸さない訳にはいかないだろう。
長期的には震災の二次的被害である計画停電や電力不足問題が日本人のエネルギー
利用に対する意識や節電習慣に影響を及ぼしたか調査したい、と教授は言っていて、
それもかなり面白そうだな、と思った。日本に帰って働き出したらさすがに研究の
手伝いをする暇は無くなるだろうが、何か少しでもいいのでこのプロジェクトとの
繋がりを維持したいなあ。
何か有益な情報があればここでも共有していきたいと思います。
雨の小道
7 年前