今日はQualitative methods(定性的研究手法)のクラスで行っている
グループプロジェクトのfocus group interviewを2時間かけて行なった。
UBCのAccess&Diversity Office(障害者やその他教育へのアクセスに苦労している
人をサポートする事務所)がクライアントで、キャンパスの物理的な環境(教室や
建物、道など)がどのようにして障害を持つ人達のアクセスに影響しているか調べて
レポートする、という課題。研究結果は実際にキャンパスのインフラ向上に役立てられる。
グループごとに異なる障害を対象にしているが、うちのグループは聴覚障害を持つ人が対象。
今日のインタビューでは、cognitive mapping(日本語訳分からん。自分の意識している
物を中心とした地図を書いてもらうエクササイズ)とfocus group(企業のマーケティング部署
がユーザーの主婦とか集めてやるようなやつ)という2つのエクササイズを通じて聴覚障害を
持つ3人の学生から意見を収集した。
念のためにキャプショニスト、という高速タイピングで会話を全て字幕化してくれる
通訳さんのような人に来て貰った。ちなみになんと1分間で220単語打つそうです(220文字
じゃなくて220単語!)。ただ、普通のキーボードじゃなくて特殊な物を使ってました。
そうじゃないとあのスピードは絶対無理・・・
cognitive mappingもfocus groupもメンバーみんな初めての経験だったのでうまくいくか、と
最初は心配してたけど、予想以上に参加者の人達が積極的に発言してくれた。
むしろ時間がオーバーしすぎないようにうまくファシリテートするのに苦労した。
いくつか面白いな、と思った点:
・歩道が広いところは横並びで歩けるので友達と歩いている時に聞き易い。
・聴覚補助器機は周りの音をかなり増幅させるので、食堂や図書館のうるさい部屋は避ける。
・最近増えてきた"グリーンビルディング"と言われる建造物は全面ガラス張りの物や
オープンスペースが非常にたくさんあるので、聴覚障害者にとっては最悪。
音がエコーしすぎて非常に聞こえづらい。むしろ古い建物で、壁が音を吸収してくれる
ような柔らかい素材で出来ているとベスト。
・特に秋になると道の落ち葉を踏む音で歩いているときに会話が聞こえづらい。
・自転車が後ろから来ても全く聞こえないことがあるので自転車専用レーンはちゃんと
常に分けて欲しい。
他にも色々と「あ、そうか」と思う点がありました。
バリアフリーとかユニバーサルデザインというような言葉がようやく浸透して
きましたが、特に聴覚障害者のような目に見えない障害(invisible disability)
に関してはあまり注目されず、実際文献調査をしても非常にデータが少ない。
というか物理的な環境(built environment, physical environment)との関係に
ついてはほとんど過去の文献が存在しないに等しいようです。
ということで、募集して集められた参加者がわずか3人でしたが(これだけ集めるのも
非常に苦労しました)、今日集めたデータは結構意義のあるものだったと思う。
こういうインタビューをすると、明日から街を見る目が変わりそうです。
都市計画家って恐らくこういう異なるレンズをたくさん持ってることがとても大事。
ただ、グリーンビルディングの例のように矛盾が起こる場合は判断が難しいところです。
雨の小道
7 年前
0 件のコメント:
コメントを投稿