先週金曜日、バンクーバー国際映画祭(VIFF)のドキュメンタリー
シリーズ、"Cities on Speed (邦題:爆走都市)"を学科の友人数名と見てきた。
激変する世界の都市を取り上げる四作もの(カイロ、上海、ボゴタ、ムンバイ)の
うちコロンビアの首都ボゴタとインドのムンバイの二作を見てきた。
この中で特にボゴタの話がかなり面白かったうえ、Youtubeで全部見れちゃう
ようなのでご紹介。NHKも少し製作に噛んでいるらしい。
コロンビアと言えば特に80年代~90年代、世界一危険な国と言われた。
ドラッグ取引、ギャング活動などが常態化し首都ボゴタも「世界最悪の都市」
という不名誉な称号を得ていた。そんなボゴタを変えた2人の政治家、
アンタナス・モクスとエンリケ・ペニャロサのお話だ。
人々の意識を変えることによって街を変えた「ソフト」のモクス、そして都市の
インフラを「車のための街」から「人のための街」に変えた「ハード」のペニャロサ。
哲学、キャラ、市政方針などある意味正反対とも言える2人だが、両者とも
それまでのコロンビアの腐敗政治を一掃し、住み良い安全なボゴタを取り戻すために
尽力した。2人に共通することと言えば「誠実さ」と言えるかもしれない。
特にもともと哲学者でありエキセントリックな性格のモクスは
「人々のモラルを変えることによって街は変わる」という独自の発想を元に様々な
仰天政策を次々に実施していく。例えば、前政権下で雇われていた警察官をまず全員解雇。
その代わりにmime(パントマイム)として働くことを望む者だけを再雇用した。
彼ら新しい警察官はパントマイムの格好に扮して街中に立ち、交通整理を行なった。
更に、市民にホワイトカード、レッドカードを配り、マナー違反を行なった
車や人に対しては市民同士がレッドカードを出し合い、逆に良いマナーの人には
ホワイトカードで褒め合う習慣を定着させた。
南米といえどあまりに大胆かつふざけた発想なので最初は懐疑的だった周りの
人達も徐々にその効果を目の当たりにするにつれモクスのやり方に共感していく・・・
とにかくカリスマ的な人だ。
ちなみにモクスは国立大学学長時代に学園紛争を鎮圧するために学生に向かって
ムーニング(お尻を見せることによって抗議の意味を表す)をしたことによって学長の座を辞するはめになった。
しかし皮肉なことにこのスキャンダルをきっかけにユーモアで平和的な物事の解決を
信じる彼の誠実なキャラがボゴタ市民に知られ、一気に市長候補に躍り出ることになった、
というこれまたとんでもない経歴の持ち主だ。
最近コロンビア(というかボゴタ)は都市計画の分野でも先進的なことを
してることで有名だが、背景にはこんな面白い歴史があることを全く知らなかった。
世界にはまだまだ知らないことがたくさんあるし、面白い歴史がたくさんある。
ちょっと話はずれるが、僕がいつも成田空港に着いてまず最初に感じるのが
日本の警察官や警備員、その他スタッフのぶっきらぼうな表情と無愛想さだ。
日本ももっとユーモアが必要だな、と思った。警察官みんなピエロの格好してる、
とかでもいいんじゃないの(笑)
雨の小道
7 年前
2 件のコメント:
Bookshelf basicの国語辞典でユーモアとひくと「社会生活(人間関係)における不要な緊迫を和らげるのに役立つ、えんきょく表現によるおかしみ。〔矛盾・不合理に対する鋭い指摘を、やんわりした表現で包んだもの〕」とあり、英和では「ユーモア(を解すること); おかしさ, こっけい (類語 humor は人間の心に訴えるおかしさ; wit は知的なおかしさ)」とある。
正確に相当する日本語は無いわけだよな。
なるほど・・・
あまり考えたことがなかったわ。
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