Amnesty International Film Festival最終日最終上映の「Triage」を
昨夜観てきました。Triageとは、辞書によると:
重症度判定検査
◆少ない資源を有効に活用するために、被害者のけがなどの状態に応じて治療の
順番を決めること。
99年にノーベル平和賞を受賞したMSF(国境なき医師団)の当時代表だった
James Orbinski医師が90年代のルワンダ紛争とソマリアの飢饉の真っ只中で経験した
人道上のジレンマや苦難を追ったドキュメンタリー。
実際に働いていた病院や思い出深い出来事が起こった場所を訪ね、当時の様子を回想し、
語っていく、というドキュメンタリーとしてはよくあるスタイル。
一番のメッセージは、「人道支援はどうあるべきか」という問いだったと思う。
人助けをしなければいけない一方で、支援側の安全も第一命題という状況でどう
行動するべきなのか、というジレンマが終始出てきた。
また、タイトルにもあるtriageという患者の優先順位付けが、確かに最も
多くの人を救うには効率的でロジカルな選択だけど、どうせもう治療は困難だ、
という患者は後まわしにすることの医師/人間としての葛藤も大きなテーマ。
自分だったらこういうシチュエーションに遭遇した時どう行動するのだろう、
どういう価値観に基づいて判断を下すんだろう、という本質的な問いを自分に
投げ掛けられた気がした。
Planningを勉強していても、正解がないような状況でも何かしらの判断を
しなければいけない場面っていうのが非常に多く、ロジックで済まされる
単純な話ではなく、個人の価値観によって左右されるようなことが多い。
実を言うと、こちらに来てからの勉強はそういう自分の価値観を常に自分に
問うようなエキササイズが多く、今まで真剣にそういうことを追求すること
に慣れていなかったので、なかなか疲れる。
日本で"シューカツ"をすると必ずまず「自己分析」をしましょー、という
第一段階がほとんどマニュアルのように存在するけど、この2ヵ月くらいは
ずっと自己分析させられている感じだ。
ただでさえモヤモヤしていて、しかもアンビバレントな自分の価値観を
言語化していく作業はもの凄く大事で通らなければいけない道なんだと
思うけど大変エネルギーのいることです。。
シューカツ用のHPで質問に答えてハイ、あなたはこのタイプ!
って自己分析そんな簡単にできたら苦労しませんってー。
脱線しましたが、重いけどいい映画でした。
P.S.
いつも思うけど映画の批評って難しい。明らかにイマイチっての以外の
一定のクオリティーの物以上になってくると「良かったよ」とか「面白かったよ」
っていうバカみたいなコメントになりがちなのが辛い。自分にはっきりと
レンズや立場があればその観点から批判もできるんだろうな。
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