大学からウィスラー直通のバスが出ているので、今日は5時起きで
日帰りウィスラーに行って来た。今年初滑り。同行したのは最近
何かとよく遊んでいるビジネススクールのスイス人O君とベルギー人Aちゃん。
二人とも僕と同じくシーズンパスを購入しているので、今学期は毎週末行こう、
と言っている。
しばらく付き合って分かってきたが、O君は30万のLeicaの銀鉛カメラを持ち、
バックカントリーのギアもかなり高価な物を揃え、なんでも"This is the best~"
という前置きがあるので、ハイエンドな物ばかり買っているんだろう。
食器も調理器具も寮に備え付けのものがあるのにそれでは物足りないらしく、
ほとんど自前で全部揃えている。もうちょっと学生らしくチープに済ますとこは
チープに済ます術を覚えてもいいんじゃないの?とたまに言いたくなるが、
完璧主義者なんだろうなあ。
スイスのエリート校出身で、相当自分の国にプライドを持っているので、毎度
愛国心丸出しというか、常にスイスの話をしている。スイスの素晴らしい技術に
ついてのレクチャーを何度聞いたことか。
それを冷ややかに見ているのがベルギーのAちゃんで、「これだから私はスイスに
住みたくないのよ。確かに綺麗な国だけど物価が高いしスイスプライドが激しい
から排他的な国民なのよ。」とぼやく。
AちゃんはAちゃんで、僕の中での「フランス語圏の女性は気が強くて文句が
多い」という法則の例外ではなく、むしろ綺麗に当てはまってくれる(笑)
日本の痴漢の話をしている時も「私なら思いっ切りビンタして終わりだね」と
きっぱり。うーん、確かに日本の女性がみんなキミみたいだったらあまり問題に
ならないのかもしれないね、と言っておいた。
O君が何か言うと、Aちゃんがそれを一蹴するようなコメントで反撃。
この二人のやりとりに挟まれながらリフトに揺られて話を聞いているとコント
のようで面白い。でも大分ヨーロッパ内の政治事情やお互いの国をどう見て
いるのか、というダイナミックスが分かってきた気がする。
まあそんな前置きはよいとして、肝心なスキー。
昨日と一昨日で合計40cm近く新雪が降っていたので、まあ大方すでに
食われているだろうとは思いながらも少し期待を抱きながら到着。
大体毎年元旦の日はパーティーの2日酔いでスキー場は空いてるらしいが
さすがに2日になると酒も抜けてみなさんスキーやる気満々。ってわけで
リフトも常に15~20分待ちくらい。北海道では並ぶことがほとんどなかった
ので実際リフトの列に並ぶのってかなり久しぶり。
今日は風がなかったので、Blackcombのてっぺん、氷河の部分がオープンしていた。
そこからハイクして裏側に回ると、Spanky's Ladderというダブルブラック(最難関)
のコースがある。ここは斜度が50度近くあるので、積雪の後はパトロールが雪崩
チェックを済ますまで滑走禁止。なので、毎朝パウダー狂達がコースが開くのを
待って列を作っている。今日も長い列が出来ていたので、僕達も便乗することに。
実はここを滑るのは今回が初めて。
赤く囲んだ部分の崖の裏。
入口にはExperts Onlyの看板。確かに到る所に30~40m級の崖があり、落ちたら
最悪死ぬだろうなあ、という場所がある。絶対初心者は来ちゃダメなのは確かだけど
崖の前には必ずロープと標識があるし、視界が良くてアイスバーンじゃなければ
転んでも危なくないので、ある程度スキーをコントロールできれば最難関といえど
言うほど激しくはない。てかそもそも視界が良くてパウダー、というコンディション
じゃないと危なすぎて開けないんだろう。
ここは数日間風が強くて誰も滑れなかったお陰でノートラックパウダーの宝庫。
久々に滑りながら叫ばずにはいられないほどの浮遊感と、これぞパウダー!!
という感覚を味わった。周りのスキーヤー、ボーダーもみんな絶叫しながら
滑ってた。幸せ。
今日は、休み中ポートランドで買ったヘルメットを初めて被ってみた。
やはりこれがあった方が安心感がある。こちらの人は8~9割の人がボーダー、
スキーヤー限らずヘルメットを被っている。これは日本と大きな違いだと思う。
こっちの人の方が割と平気で危険なことをするので、それを分かって着けて
いるのか知らないが、とにかくほとんどの人が被っている。
ニセコへ行くとヘルメットをつけたオーストラリア人とヘルメットなしの日本人、
という感じで綺麗に分かれているのを見ることができる。
自分も最近まで買わなかったので他人の事はあまり言えた立場ではないけど、
日本でももっとヘルメット着用を普及させた方がいいと思う。なんかあった時に少なく
とも頭だけは守っておきたいところ。
特にボーダーは逆エッジだのでぶっ飛ぶことが多いし、体勢的にスキーよりも
頭を打つ危険性が高い。見かけは確かにお洒落な帽子の方が格好いいかもしれない
けど、最近はお洒落なヘルメットだって多いし、いくらお洒落でも怪我したら終わり
(特に頭)ですからね~。日本は見た目を気にしすぎるところがかなりあるんだろうな。
(逆に北米だと「もう少し気にしろよ」と言いたくなることが多々ある)
夜はO君がカナダの税関を潜りぬけて持ち帰った8kgに及ぶチーズを使い
チーズフォンデュディナーを開催してくれた。12人でワインとフォンデュと
デザートのアップルピューレ&チョコ、というスイス尽くしの晩ご飯を頂いた。
12人のうちなんと2人もプロアスリートがいた。1人はスキージャンプで
カナダ代表としてトリノ五輪にも出た人。もう1人はバレーボールカナダ代表。
凄い人達がいるもんだ。
生憎チーズは僕のお腹的に少し良くないので控え目に頂いたが、とても
美味しいチーズのは確かだった。ここでもO君はエーデルワイスの柄が入った
シャツに、自分の誕生日と名前が入ったカウベルを持って登場。あとは
ヨーデルでも歌ってくれればこの人はスイス観光マスコットか、と思ってしまう
ほどのオールスイスだ。
明日が終われば月曜日からは早くも新学期が始まる。僕は火曜日から
授業なので、まだ2日、休み気分を満喫しよう。