2010/12/13

1年半ぶりの帰国

明後日から1月3日まで1年半ぶりに日本に帰国します。
帰国の理由は10月のボストンから始めた就職活動にけりをつけることと、
地球の裏側からはるばる日本に遊びに来てくれる彼女に会うこと、そして去年カナダで
年越しをしてみて正月はやっぱり日本で過ごすに限ると思ったから。
お餅とお雑煮と数の子が食べたい。

考えてみれば日本を1年半も離れたのは初めてだ。小学生の頃カリフォルニア
にいた時も毎年夏には日本に帰っていたし、ポートランドに交換留学していた
時も1年以内だった。1年半なんてあっという間だったけど(首相は麻生→鳩山→菅と2回も変わってますが。)
日本を出発した時の事を考えると大分前に感じるので時間の感じ方って不思議なものだ。


先週課題を終わらせてからはいたってのんびりと暮らしてます。
3日間泊まりでウィスラーに滑りに行き、その他の日は週に2-3日は夕方大学のプール
に行って1kmくらい泳ぎ、昼間はコーヒー屋で久しぶりの趣味の読書に耽っている。
同じ大学の日本人の友達に借りた日本語の本2冊(『白夜行』東野圭吾と『私という運命について』白石一文)
を3日くらいで読破した。特に初東野圭吾だった『白夜行』は噂通り面白かった。
900ページ近くある長編小説だが、あっという間に読めてしまう。
授業で出される論文等もこれくらい面白くてこれくらいのペースで読めればいいのに、と思ったり・・・

残りの冬休みは『Natural Capitalism』Paul Hawken著を読みつつ
小説敬遠気味だった今までの読書スタイルを見直し日本で何冊か小説を買おうと思う。
小説ど素人なのでオススメあれば是非教えて下さい。

さあ、日本に帰ったらまず何を食べようか。

エア・ジョーダン

ウィスラーには度胸試しの名物ジャンプがいくつかある。
山頂リフト乗り場からよく見える数段の崖だ。
それぞれに色んな名前が付けられているが、中でもデカイのが
一番上部にあるAir Jordan(12~3m)。一昨日も早速飛んでる人がいた。

Youtubeに過去のAir Jordanジャンプがあったので紹介。


2010/12/12

循環型社会

今学期取った授業の1つがSustainability Governanceに関するものだった。
持続可能な社会の実現にあたってガバナンスの形態がどのように変化しなければ
ならないか、ということを考える授業だ。授業で扱った題材全てに共通する考え方が
Integrated Resource Management(IRM)というもの。IRMは日本語では『統合的資源管理』
とか言うらしい。教えるのはBC州のMinistry of Sustainable Resource Management
の元Deputy Minister(次官)だったJon O'Riordan教授。

現在の経済モデルは、経済というシステムに「資源というInput」を投入し、それが加工、消費
されて「廃棄物というOutput」として出てくる、という直線的な考え方に基づいている。
それに対してIRMは『本来自然界には廃棄物というものは存在しない』という生態学の
原則に基づいた資源管理の考え方だ。日本でよく言う『循環型社会』の基本原則と言ってよいと思う。

この授業の最後の課題が、実在するインフラ設備や資源利用法をIRMに基づいた
ものに変更するならどういったものが考えられるかコンサルタントになったつもりで議会に
対して仮想の提案書(Policy Recommendation)を書く、というケーススタディだった。

うちのチーム(4人)は現在実際に検討されているバンクーバー広域地域の廃水処理施設
のアップグレード・建て替えに関して書くことにした。今年の5月にカナダ連邦政府環境省
の定めた新環境規制により、国内全ての廃水処理施設に対してSecondary Treatment(二次処理)
が義務付けられた。これを受けて、バンクーバー広域政府は既存の古い廃水処理施設を
取り壊し、新しい施設を建てることを検討している。僕らのチームは、新施設の1つの方向性
として、IRMに基づいた全く新しいシステムにすることを提案した。

例えば、今まではそのまま処理して海に流していた廃水を家庭や産業・工業用の非飲用水
(冷却水、感慨水、トイレを流す水等)として再利用したり、下水が持っている熱を
ヒートポンプを使って回収して暖房に使う事が可能だ。また、廃水処理だけではなく
有機廃棄物(コンポストや庭の草木)の回収も同じ施設で行なうことにより
バイオガスを生成しそれを使って電力を作ったり、車を走らせることができる。
このように、現在『廃棄物』として扱われている物全てを資源に変える複合施設を
作り、インフラもそれに合うような物に作り変えるのはどうか、という提案だ。
(プレゼン用に作った図が以下:1が既存のシステム、2がIRMに基づいたシステム)



こういう取り組みはスウェーデンやドイツで既に多くの実例がある(Stockholm,Kristianstadなど)。
実際、技術的にこういう施設・インフラを作ることは決して難しいことではないらしい。
問題はこの授業の主題でもあるガバナンスをどうするか、ということだ。
現在の行政システムは上水の管理と下水の管理が別々だったり、固体廃棄物と液体廃棄物の
処理が別々だったりとかなり縦割り行政になっている。これをIRMのような統合的なものに
するためには現在の縦の繋がりから横の繋がりへ、大規模な組織改革が必要になる。
それに関してももちろん提案書の中に具体的にどういう連携が必要になるのかを盛り込んだ。

長く行政に関ってきた教授によれば、このガバナンスの部分を変えるだけで10~20年
という単位の時間がかかるだろう、という事だった。こういう自治体レベルのインフラ
に限らず、世界レベルでも持続可能な社会の実現を阻むのはハードの部分ではなく
必ずソフトの部分なんだ、とつい先日までメキシコで行なわれていたCOP16の報道を
見ても思った。

IRMの考え方自体はとても単純で当然のことをしているだけ、といえばそれだけ
の話なのだが、あらゆる資源管理をIRMというレンズで見ると見方が変わってくる。

昨日まで一緒にウィスラーに行っていたクラスメートの友人(女性)も、ホテルで夜
話していた時に「ちょっと汚くて、しかもnerdy(勉強オタクっぽい)な話なんだけど、
あの授業を取って以降、トイレに行く度に『あー、熱が無駄になった』って
思っちゃうんだよね!」と言っていた(笑)

2010/12/06

終わった

残っていた最後のペーパーを終わらせて教授に送り、無事今学期終了。
といっても実は明日もう1つだけ授業があるが、クラスメートが市の職員の人達に
プレゼンするのを聞いて一緒にディスカッションするだけなので楽チンだし楽しみ。
とりあえず課題がなくなっただけでハッピーだ。

それにしてもまたもや時間が経つのが恐ろしく速かった。今学期は論文を進める為に
授業数を通常の4コマより1つ減らして3コマしか取らなかったのだが、十分忙しくて
結局ほとんど手付かず。来学期は1コマしか取らない予定なので今度こそ論文に本腰を
入れれるはずだ。

大学院に入ってからテストというものがない代わりにペーパーはしょっちゅう書く。
テストよりタイムプレッシャーがないし、覚える作業がないのはいいが、「書く」という
行為はかなりエネルギーを使う上に構想を練ったり、推敲してる時間がえらく長い。
しかもどこまでやっても改善の余地がいくらでも出てくるので終わり無き旅に
出たような気分になり、それが結構精神的に辛い。
という訳で僕はテスト勉強の方がよっぽど楽だと思う。
今日提出したペーパーもトピックのscoping,framingにやたらと時間をかけて
しまってああでもないこうでもない、と何度も書き直したのでかかった時間と
実際に書いた量を比較するとちょっとげんなりする。幸い1つ目のペーパーで
かなりいい成績を貰えたので、今回は多少劣っても・・・という悪魔の囁きに
導かれてエーイっと「送信ボタン」を押した。

まあ、とにもかくにもタームが終わったときの爽快感って大好き。
今後は読みたかった本(英語も日本語も)を気兼ねなく読み、スキーに行きまくろう。

とりあえず水曜日~金曜日と泊りがけでウィスラー、土曜日は骨休みで再び
日曜日も滑りに行く予定。15日に日本に帰省することになったので、それまでに
出来るだけ滑りに行きたい。

PS 最近欲しい物:GoProのスキー用HDヘルメットカメラ($299)

これで撮影した映像がこちら
(ちなみに2つ目の動画の撮影地はオレゴンのMt.Hood)