2011/06/16

本当に起こってしまった

先日書いたホッケーの記事で、カナックスが負けたら、前回94年のようにまた暴動が
起こるかも、と冗談半分で書いたが、本当に起こってしまった。しかもかなり酷い規模で。


第七戦にもつれ込んだスタンレーカップ決勝戦は今日が泣いても笑っても最後の試合。
これで勝てばカップを手にするが負ければそこで2位が確定する。そんな「世紀の一戦」だけに
特にやることもないので僕もダウンタウンで友人と観戦することにした。
試合は5時からだったが、どこのバーも昼前から満席なのは分かりきっていたので、席を取ることは
端から諦めて、屋外スクリーンやバーの野外席の柵の外からサンドイッチと隠し持ったビール
(カナダでは公共の場では飲んじゃダメなので)を飲みながら見た。
試合は4-0でボストンに大敗。今までアウェイの試合は全て負け、ホームゲームは全て勝っていた
だけに今日のホームゲームは法則通り行けば勝てるはずだったがそううまくいかず。

完全にわかファンの僕としては特に思い入れもないので「あーあ負けちゃった」くらいの気持ちだったが
試合後のダウンタウンはいつもと少し様子が違う。何処からか黒煙が立ち上り、人々もピリピリしている。
ただならぬ雰囲気を感じ取り、気持ち悪いので早めに帰ることにした。

当初の予定では友人達とダウンタウンで一杯飲む予定だったが、今日の試合によるさまざまな
交通規制の関係で彼女等が公共交通でダウンタウンに来るのがあまりに面倒だと分かったので
近場の友人宅で会うことにしたのだった。


しかしダウンタウンを離れてから友人宅に到着してみると、テレビ中継がさっきまでいた
ダウンタウンの酷い状況を映し出していた。少なくとも10台以上の車が横転・放火され、その中には
バスやトラックそしてパトカーまで含まれていた。商店の窓も至る所で叩き割られ、略奪が多発し
警察の特殊部隊が催涙弾やペパースプレーで沈静化を試みていた。




テレビでも言っていたが、暴動を起こしているのはごく一部の人間だが、何より残念なのが
それを助長して喜んでいる周りの野次馬だ。酔っているから、とかいう言い訳なしにみんな
楽しそうにいつ爆発するかも分からない炎上中の車と記念写真を撮っているのが信じられない。


今晩の一連の出来事はあまりにアホらしく、僕も周りの友人も呆れて物が言えなかった。
バンクーバー市長も怒り心頭。前回の暴動が起こってから、ダウンタウンで大勢の人が集まって
騒ぐイベントに対して市は極端とも言えるほど敏感だったが、昨年のオリンピックを大きな混乱なく
乗り切ったのを機に徐々に信頼を取り戻していたところだっただけに今回の一件で完全にそれは崩壊した。

今後当分は"no fun city"と言われようがバンクーバー市はバカ騒ぎやお酒に対して規制的になる事は明らかだ。


ホッケーで負けたくらいでこんな騒ぎになるなんて本気でバカじゃないか?と言いたくなるが、
写真を見ると(そして常識的に考えて)暴力的になっているのは本当のホッケーファンではなく、
ただ単に目立ちたがりで暴れるきっかけが欲しいだけの連中だ。いくらアイスホッケー自体が暴力的な
スポーツとは言え、そこにスポーツマンシップはあり、明らかに各上のプレーを見せた相手チームの
ボストンブルーインズを称えるのが本当にホッケーを分かっているファン達だろう。


FacebookやTwitterを見ていると呆れたカナダ人達のつぶやきが数多くある。
いくつか紹介しておきます(僕の意訳で)


「中東など、世界には自由や生活の改善を求めて暴動が起こっている国があるというのにここ
バンクーバーではアイスホッケーに負けたことを口実に暇人達がそれらの国々の人達の年収以上もする
車を平気で叩き壊し燃やしている・・・情けなすぎる。」

「世界一住み易い街?先進国の教育された人達?冗談だろ?」


もうすぐバンクーバーを去ると言うのに、この街の大きな課題と負の側面を見せ付けられた気分です。

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